離乳食からの手づかみ食べはなぜいいか?

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手づかみで離乳食を食べることは、赤ちゃんの新たなる発見の始まり。
手づかみ食べは、赤ちゃん自身が自分で“ できる ”ということに気付くことが大切です。
そんな気付きのタイミングから、手づかみ食べの経験をどんどんさせてあげましょう。

目次

手づかみ離乳食はいつから?

・手づかみ食べを始める目安
手づかみ食べのスタートの一つの目安となるのが、赤ちゃんが自分で食べ物を掴んで口に運ぶようになるタイミングです。まずは食べ物に手を伸ばして口に運ぶ様子が見られたらそろそろ手づかみ食べをスタートさせて良いでしょう。一般的な手づかみ食べは離乳後期(9~11カ月ごろ)にスタートともいわれています。

・当院での指導
しかし、手づかみ離乳食を推奨している当院では、月齢ではお伝えしていません。
なぜなら赤ちゃんの心や体、口の成長は個々に違います。

9カ月になったら始めなければいけない訳ではありませんので、赤ちゃんが自分の手についた離乳食を舐めたり、自分の意志でつかんでお口に運ぶ姿が見られた時に始めることを推奨しています。
(ただし、手づかみ食べは首・腰が据わっている安定した椅子座りができていることが条件になります)

【手づかみ食べのメリット】
赤ちゃんにとって手づかみ食べには、

・目と手と口の協調運動が身につく
・自分に適した一口量を学ぶ
・噛む機能の習得
・口腔機能の発達と成長
・五感を使うことで感覚機能を養う
・後々、手が器用になるので食具も上手に使える
・食への関心と意欲が高まることで、何でも食べる
・達成感
・考える力や自立心を育む


といった多くのメリットがあります。
赤ちゃんの日々の身体と心の成長にも欠かせません。

手づかみ食べで自分で食べてくれるので、一日の多くを一緒に過ごすママにとっては、
つきっきりになって食べさせなくてもいいので、お子さんと一緒に食事の時間を過ごすことができます。
お食事時間を親子で楽しいものにしましょう。

【どんなものをあげたらいい?】

~手づかみ食べの進め方~
手づかみ食べは、どんな食材からスタートしても良いわけではありません。
赤ちゃんがつかみやすい形態で柔らかく食べやすいもの始めてみましょう。

初めのうちは、まだ手の力の加減のコントロールができないので、ぐちゃっと潰してしまうことも多いかもしれませんが、それでも構いません。
潰れて手についたものを口に入れることも、手づかみ食べには大切なプロセスです。
おかゆにも手を伸ばす様子があれば、もちろんおかゆも手づかみOK!

手づかみ離乳食は、食材にたくさん触ることで様々な経験学習をしています。
どんな風に手を使ったら掴めるか、口へ持っていけるか、食べられるのか、そんなことを経験の中で学習すると同時に、食べる意欲も育まれていきます。

手づかみ食べにおすすめの食材

~野菜
「にんじん・だいこん」は、どの離乳食期でも使いやすい食材です。調理ポイントは“やわらかさ”。初めて手づかみにチャレンジする時はスティック状にしたものから始めてみましょう。
赤ちゃんが握ったときに1cmくらい飛び出るくらいの長さを目安にしてください。

タンパク質~
「豆腐」「魚」「ささみのひき肉」は手づかみ食べのメニューを作るときに応用しやすい料です。
魚、肉は身が引き締まらないように熱を入れましょう。

~主食~
白米の「おかゆ」をおすすめします。
おかゆは胃腸の働きが未熟な赤ちゃんにとって、消化吸収もよく、アレルギーの心配も少ないので安心して使える食材です。
お米の種類も様々ですが、やわらかく甘みのあるお米を選ぶと、より赤ちゃんも食べやすくなります。

ちなみに、よく手づかみ食べにも使われやすい果物ですが、当院では離乳食期の果物はおすすめしていません。

なぜかというと、離乳食の目的は

・食べるお口の機能を獲得していくため
・より良い消化吸収ができるようにしていくため
・味覚を育むため


です。

もちろん果物の栄養も大事ですが、その栄養をしっかり体に取り込めるようにするためにも、そのベースである
食べるお口の機能をしっかり獲得しなければなりません。
近年の果物は一昔前に比べて糖度があがって、赤ちゃんもハマる“おいしい“甘さです。
そして、果物はこの時期にあげなければいけないものではありません。

そういったこともあり、味覚を上手に育むため、離乳食をスムーズに進めるうえでも、離乳食期ではまだ果物は遠ざけておいてほしい食材です。

また、離乳食の赤ちゃんの消化吸収はまだ未熟なため、下痢やアレルギー症状を起こしやすいともいわれていますので、そこも考えるとやはり、「離乳食期の果物はいらない」となるわけです。

食材を紹介しましたが、手づかみ食べでもうまく食べられないこともあります。
そんな時は、その赤ちゃんのお口の機能に食形態などが合っていないのかもしれません。
調理する際は「大きさ、やわらかさ、水分」を常に意識してみてください。

食べる意欲を育もう!手づかみ食べしない時の原因・対処法

中にはなかなか食べ物に手を伸ばさず、手づかみ食べに積極的ではなかったりすることもあります。
その場合は、大人が手づかみ食べで食べる様子を見せたりと“一緒に食卓を囲む”ということしてみましょう。

食べる意欲や手を伸ばすきっかけとして大事な場面になります。
初めのうちは手に食材が触れても、口に持っていくまで時間がかかるかもしれませんが、ふとしたきっかけが生まれる時間ですので、保護者はもどかしく思うよりも、「いつやってくれるかな♪」というワクワクし気持ちで待ってみましょう。

それでも中々食べない時は、改めて以下の事も見直してみましょう。

・手づかみ食べをしやすい献立になっているか
手づかみ離乳食は、赤ちゃんのお口の成長に合った調理形態でないと食べにくいものになってしまいます。
献立も何でもいいというわけではありません。
切るだけ、だしで煮るだけ、蒸すだけなど、シンプル献立が赤ちゃんにとってのベストということも。


「手づかみする時にはどうかな?」ということを意識して献立を考えてみましょう。
献立によっては、手づかみした時の感覚を不快に感じる子もいるかもしれません。
手づかみしやすい献立とは、赤ちゃんのつかむ経験によっても違うので、食事の際の赤ちゃんの反応をよく観察してみることも大切です。

・ 大きさや硬さの見直し
大きすぎてなかなかつかめない子もいれば、小さすぎてつかめない子もいます。
食べやすいようにと細かく刻んだり、細切りにしたりすると逆に手づかみがしにくくなることがほとんどです。
お口の中でも押しつぶしがしにくくなってしまうため、すぐに飲み込んでしまうってことも、、、。


また、食材が小さいと前歯でのかじり取り経験がする無くなるので、お口の成長の面からも大きさは“大きめ“
が適しているといえます。 そして、食材がしっかりとしていれば手づかみ食べがしやすいわけでもありません。
[手づかみ=硬い]ではないので、お子さんがしっかりと口の中で舌や歯ぐきで押しつぶせる程度の、
やわらかさがベストです。
やわらかいものをつかむという経験は、力加減などを学ぶ機会にもなっていき、手の器用さが増していきます。

・あそびの中でさまざまな感触のものを触る経験を
特に、スプーンで食べさせてもらってる経験が多いと、なかなか手が出ないものです。
手づかみたべをしてほしい!という思いがあるなら、是非触る経験をたくさんさせてください。
食材も大事ですが、日ごろのおもちゃや身の回りのものでの感覚遊びは手づかみ食べにつなげるにはもってこいです。
お水あそびもいいですね。
手についたものをその都度拭き取ってあげることは、感覚の経験の場面を奪ってしまうことにもなるので
手づかみ食べの機会を逃してしまいがちです。

・食べやすい環境か
お食事前に赤ちゃんの体とテーブルの距離を近づけたり、椅子やテーブルの高さを調節するなど、赤ちゃんが手を伸ばしやすい姿勢や安定感、環境を整えてあげることも大切です。
それだけでも、食べる意欲が変わったりします。
また、目の前への食事への集中できる周囲環境も大事なポイントです。 普段大人が気にならないようなちょっとした整えで、すっと手を伸ばせる赤ちゃんも多いんです。

手づかみ食べは自立の第一歩

手づかみ食べは何といっても赤ちゃんファースト!
食への興味と食べる意欲を優先に、赤ちゃんペースのお食事タイムということを忘れないでください。
何でも“赤ちゃん任せ“とは違いますよ。
赤ちゃんの「これなんだろう?」「自分でやりたい!」という気持ちを大人はサポートして、「自分でできた!」という楽しさと喜びの発見をたくさん経験させてあげましょう。
そこから生まれるのは、自己肯定感だったり、他者との共感だったり、何よりも赤ちゃんの自立の第一歩になるからです。 その中で、時にはしばらくの間、用意した離乳食の半分もお口の中に入らずに、床に落ちたり散らかしてしまうかもしれません。 そんなことはよくあるので、少し多めに作っておいて、多めに出すのも手づかみ離乳食をする際のポイントです。
手づかみ食べは散らかしたり落としたりで “ なんだか大変 “ というイメージもあるかと思います。
ただ、手づかみ食べの経験が増えるにつれ、落としたりせず上手に目の前の食材を手づかみ食べするようになります。
一緒に過ごす時間が多いママにとっても気持ちに余裕がでるので、一緒に食べたり、お子さんの様子を眺めたりと離乳食タイムが楽しくなりますよ。 積極的に自分の手を使って食べることは、赤ちゃんの意欲をぐんぐん引き出し、自分で食べるという経験値を確実に積み上げていく大事な期間ということを思いながら進めていくと、手づかみ食べへのイメージも変わってくるのではないでしょうか。

まとめ

見て・触って・食べるということは、何気ないことかもしれませんが、赤ちゃんの身体や口の成長へも繋がっていきます。 大変だけど、メリットはたくさん!
毎回でなくても大丈夫です。
まずは一日の中でできそうなタイミングを見つけて、そこから始めてみましょう。

きっと親子で色々な発見があるはずですよ。

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